山ほどお薬飲んでも治らない病気。
パーキンソン患者さんを対象にした研究で、薬剤価格によってプラセボ効果に違いがあることに示され、「Neurology]で報告された。
米シンシナティ大学の研究では、12人の患者に対してプラセボ2薬を1剤ずつ、時間をおいて投与した。どちらの注射も実際には生理食塩水。患者には一方の薬は一回分17万6千円。もう一方は、一回分1万2千円だと告げられた。
医師は患者にどちらの薬剤も同様の効果があると断言していた。
その結果、高価な薬剤を投与されていると告げられた場合、投与後4時間にわたって振戦、筋固縮などの症状の改善が大きくなり、MRIでも患者の脳活動に違いが見られた。
これらのプラセボはパーキンソン薬ほどの効果は見られなかったものの、高価なプラセボは通常のパーキンソン薬と安価なプラセボの中間に位置した。
さらに、脳の活性は、高価なプラセボと通常薬と同様の効果であった。
ということです。
つまり、脳がこりゃ治るぞ~。って期待するだけである程度効果があるということです。
人は他の動物と違って「思い込み」によって身体の不調を悪化させたり改善させたりする生き物であるということです。
病院には多くの患者さんたちが来られますが、この「思い込み」による症状がどれだけ多いか舌を巻くほどです。
しかし、患者さん本人にとっては、一大事なわけです。
眠剤のシートの色が変わっただけで「眠れなくなった!!!」と騒がなければならなくなるのです。
「眠剤を飲まないと眠れない」「ロキソニンがないと眠れない」「セデスがないと眠れない」
よくよく考えてみて下さい。人間は72時間睡眠をとらなければ、昏睡状態になります。生きている限り、必ず「寝る」生き物なのです。
「わたしゃ、10年間寝たことがない!」
と自慢げに話す人がよくいますが、それは、昔味わったよく寝た感じがない。というだけで、ちゃんと寝ているのです。
そういう方は点滴室で大いびきをかいて寝ていることが多い。でも本人は寝ている気がしていない。ということです。
ロキソニンやセデスに至っては、痛みの原因を取っているわけでもなく、ただ痛みを感じなくしているだけのお薬です。それらがないと眠れないという思い込みで睡眠できない。
そういう患者さんは病院では陰で「ロキ中(ロキソニン中毒)」「S中(SG中毒)」
と呼んで、痛み止め薬中毒患者さんとして扱われます。
しかし、それらの患者さんに
「あんた、それ思い込みだからやめましょう」
と言っても、患者さんは怒るだけで誰も眠剤や痛み止めを飲むことを辞めないでしょう。
薬物中毒は、心も体も蝕む。
痛みがあるなら、痛みの原因治療、眠れないならカウンセリングや活動量の増加等の対応が必要です。
「思い込み」による症状はいくらでも改善の余地があるということです。
パーキンソン病のような指定難病の患者さんでさえプラセボが効果が見られたのです。
全てではありませんが、薬剤だけでは、人の疾患は治せないのです。薬剤以外でしか治せない部分が、人にはたくさんあるということです。
心が動かないと体は動かない。(私が普段仕事場で口すっぱく言っていることです)
私が長年やってきた理学療法は薬物・観血的手術以外の治療法です。薬だけでは、治らない・障害がある患者さんは、是非、療法士の扉を叩いてみて下さい。別の世界が見られるかもしれませんよ。(笑)
天気のいい日に公園で蛇三味線二時間ぐらい弾いて、大声で歌いまくったら、よく眠れますよ~。( ´∀` )
このプラセボの実験はネットで見ることができますのでぜひNeurologyで検索してみてください☆