小児リハビリテーション。
高齢者医療に嫌気がさしてきていたところに、私の目に飛び込んできたのが「小児リハ」の文字。
これは渡りに舟、とばかりに、面接に行ってきた。
いや~。子供たちのかわいいこと、かわいいこと。何がかわいいって、手を抜かずに全力で生きているところがカワイイ。
高齢者の場合、いくらでも寝たきりにならない方法はあるのに、どれだけ教えても、自らの意思で寝たきり街道に飛び込んでいってしまわれる。
「寝たきりになりますよ」「認知症になりますよ」
といくら諭しても、「もう死ぬからええんや!!!!」と生きることを諦めて、怠惰に生きることを決め込んでおられるので、認知症になりオムツになり寝たきりなって何十年も長生きされる。
そこに持ってきて子供たちは、怠惰なところが一切ない。療法士がセオリー通り治療を行えば、必ず答えてくれる。
それが、カワイイ。
また、応援団の多さにも驚かされた。
高齢者の場合、高齢者を応援してくれる家族はまずいない。家にいると面倒だから施設に大人しくいてくれればいいだけなんです。なんて家族が大半である。在宅復帰率1%とか2%って数字がそれを物語っている。
施設のスタッフもできるだけ手間がかからないようにかからないように。と、そればかりで、寝たきり老人を大量生産している。
(寝たきりが一番介護の手間がかからず、一番儲かるからだ)
老人医療・福祉にかかわる医師を含めたスタッフは、高齢者を金づるぐらいにしか思っていない。高齢者の味方が少ないのには、舌を巻くばかりである。
そこに持ってきて、子供たちの応援団の多い事。多い事。医師、看護師、保育士、介護福祉士、療法士、家族。みんなが子供たちの味方である。
少しでも健常の子供と同じ生活をさせてあげたい。日常生活を普通に送ってもらいたい。みんなの気持ちがリハ室に溢れいていた。
一部、困った親御さんもおられるとのことだったが、それでもおおむねが子供たちの味方なのである。そんな、味方だらけの高齢者なんて今まで何千人と治療してきたが、まず見たことがない。
しかも、治療して治していい雰囲気がリハビリテーション室に充満していた。これは凄いことだ。高齢者の場合は、まず、治療して治すと医師や看護師、介護士、家族から鬼のようなクレームがつく。
「なに歩けるようにしてくれとんねん!!」
「こっちは一生懸命寝たきり作ってるのに、リハ職はなに勝手に治してくれとんねん!!!!じゃますんなや!!!!」
「トイレなんかどうでもええんや、オムツはめたらええんやから!!!!BMIは12ぐらいが介護しやすーて、軽くてええんやよ!!!!年寄りに栄養与えてどうすんねんアホか!!!」
「家族は年寄りを治してほしいなんて誰も思ってないんやから、治療して治すんは療法士の自己満足だけなんやよ!!!」
「年より治してどうすんねん!!!売り上げ下がるやろが!!!!アホか!!!」
と、いままでどれだけの罵詈雑言を様々なところで浴びせられてきたことか。そのたびに私は臍を噛む思いで、頬に伝う涙をぬぐい、血がにじむほど歯を食いしばって頑張ってきた。
しかし、小児領域はそういう雰囲気が一切ないのである。もしかしたら、治してもいいのかもしれない。凄いことだ。本当に凄いことだ。高齢者医療では絶対に考えられない。
感動に次ぐ感動のまま、面接を終えかえってきた。
小児領域って凄いところだ。治療してもいいなんて。治してもいいなんて。本当に凄いところだ。
涙、涙、涙。