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医療・介護業界の人なら知っておきたい「本当は怖いICF(国際生活分類)」

ICF(国際生活機能分類)というものがある。介護や医療にかかわっている人なら一度は目にするだろう。


国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health, ICF)は、世界保健機関が2001年5月22日の世界保健総会(World Health Assembly)において、国際障害分類(1980年採択、International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps:ICIDH)の改訂版として採択、加盟国に勧告している、健康状態、心身機能、障害の状態を相互影響関係及び独立項目として分類し、当事者の視点による生活の包括的・中立的記述をねらいにする医療基準。
byウキペディア

だそうな。なんのこっちゃ。でしょ。

まぁ、簡単に言うと、障害を負った人を分析する際に、ICIDH(国際障害分類)だけだと足りないんじゃないの~。障害は、ICIDH(機能障害→能力障害(能力不全)→社会的不利)だけでできるもんじゃなくね。人ってそれだけじゃないじゃん。もっといろいろあるじゃな~い。

ってことになって、健康状態(障害の状態)を・生物レベル(心身機能・身体構造)・個人レベル(活動)・社会レベル(参加)の3つから構成されていると考えようぜい。
いやいやそれだけじゃないよ。環境因子・個人因子がそれぞれに相互に影響し合う関係もあるじゃん。

ってことで、生活能力と障害を分類しようぜってことあいなった。

人の生活を分類し分析するための新しいツールを作ろうぜ。ってのがICF

難しいでしょ。

この分析ツールは実に便利だが、とても恐ろしい側面を持っている。

ICIDHだけだと、機能障害スタートなので医療の独壇場になってしまう。だが、ICFだと、医療だけの問題ではなくなる。なので、地域、社会、福祉といった分野まで網羅できるツールとなっている。

一見スンバらしいツールに見えるが、使い方を誤ると寝たきり老人・障害者が大量生産されてしまうのである。

ICFはICIDHと違って、多様性に富んでいるため、使う人(業種や人)によって180度違う見え方をする。

例題を挙げて説明しよう。

疾病(変形性膝関節症)の人がいたとする。

膝が痛くて、トイレにも行けない。食事だってままならない状態だ。なので、大好きな日舞の稽古にも行けやしない。家族は遠方に住んでいて、「心配」だけはしてくれるが、帰ってきてくれるわけでもなく、毎日電話はかかってくるが、まったくあてにならない。


これ、ね、
ICIDHだったら、膝が痛いので、歩けない。なので、トイレにも行けず、大好きな日舞にも行けないのだ!!だから、膝の痛いのを治すのだ!!

ってことになるんだけど。

ICFだと、膝が痛いのはまぁ置いといて。家族が帰ってきたら、トイレにも連れて行ってもらえるし、大好きな日舞にも行けちゃうよね。よかった、よかった。

と、とらえることができる。

または、よーし、トイレができないのなら、オムツをハメちゃえば、大好きな日舞にも行けるじゃない。日舞にさえ行けば膝の痛いのだって治るのだ!!

ともとらえることができる。

また違う人ががICFを用いると、

いやいや、問題点はトイレや膝が痛いことじゃなくて、家の構造に問題があるのだ、トイレをベットの横に設置して、車いすで台所に行ければ、料理だって作れる。そうだ、台所を車いす用にしちゃえば、いいのだ。そうすれば、活動が上がって、日舞にも行けるし、膝の痛いのだって治っちゃうのだ!!

てな具合である。

またまた違う人がICFを用いると、

問題点は膝が痛いことやトイレや食事じゃないのよ。日舞よ!断然日舞!!ボランティアで日舞に連れて行けば、トイレだって、膝の痛いのだって、食事だってすべて解決よ!!

てな具合になる。


そりゃ、寝たきりが増えるのも無理はない。恐ろしいツールを作ったものだ。うまく使えば、素敵な生活づくりをサポートする凄いツールなんですけどね。

さぁ、あなたはどれがお好みですか~。

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