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アキラとアキラ、男女ふたりのユニットで運営しています。医療介護、グルメ、アウトドア、文具など書いています。

臨床実習

 

mainichi.jp

たまに実習で自殺者が出る。最近こうやってニュースになるようになったが、昔から、どこの学校でも数名はその長い歴史の中で、黒歴史があるものである。今ほど公(おおやけ)になってなかっただけのことである。

 

私の通っていた学校でも、学生寮に入ると実習が辛くて自殺した先輩の話が脈々と語り継がれてきた。「106号室の先輩は作業療法士科で・・」「204号室の先輩は何期生で理学療法士科で・・・」一年生が学生寮に入ってくると必ず誰かしらが下級生に語り継ぐルーティーントークになっていた。

 

医療系の資格の実習は、理学療法士だけなく、看護師、医師、そのたの職種でも大量の自殺者、精神病患者を生み出している。

www.huffingtonpost.jp

 

死者が明るみに出た以上、何か対策を取らなければならない。それは、当然そうだろう。死者はいかん。死者は。未来のある若人が死ぬのはダメだ。

 

しかし、ある一定の実習=修行の構図は、決して悪いものではないと個人的には思っている。

学校の指導要綱には、「一人で理学療法がおこなえる」「少しの助言で行える」等の学生に対する評価基準が設けられているが、教えるバイザー(学生担当療法士)が勉強できる人であればあるほど、評価は厳しいものとなる。しかも、学生レベルで、バイザーの助言無しで理学療法がおこなえるほど、甘い学問ではない。

逆に全く勉強していないバイザーが適当に学生に対してなーなー、お友達感覚で実習を合格させ、何の勉強もしていない学生が次の春から患者を診る事態になるのもなんだかな~。である。

 

バイザーの質がいつも問われているが、医師ほどのステータスがあるお勉強のできる人たちでさえ、精神を病むのが臨床実習。よく、学歴でバイザーの質を推し量ろうとするが、ならばなぜ、医師の実習でうつが25%もいるのかを考えなければならない。

実習は厳しいものである。当然である。疾病や障害を熟知して治療にあたらないと障害が取れない。療法士で言うならば、寝たきり患者を大量に作ることになる。

疾患別リハビリテーションでは、治療期間が最長でたった6か月間しかないのに、その貴重な期間を治りもしない理学療法や作業療法を受けて、人生を棒に振ってしまう患者さんたちの気持ちを考えると、いたたまれない。結果を出せなかった療法士たちはどうやって責任を取るのか。


自分が障害を負って、治りもしない治療を受けさせられることを想像してみてください。そして、手遅れの時期に入ってから、別のところで見てもらおうにも、もう、保険適応期間が終わってますので、医療保険では治療できません。って言われちゃうんですよ。患者は病院選びを絶対に失敗できないんです。いくら医者が高名なところでも、療法士の腕がなければ、寝たきりになってしまう。なので、実習は手を抜くべきではないと個人的には思っている。

 

とはいえ、療法士の臨床実習には問題も多い。

 

医師や鍼灸師は免許を取ってからしか臨床実習ができない。

 

しかし、理学療法士の場合は、免許がない状態で臨床実習を行い、実際に患者さんを治療する。ここに大きな問題がある。

 

鍼灸師でさえ、免許を取ってからの実習でしか針は患者さんに打てない。打たしてもらえない。免許のない実習では、先生のアシスタント程度である。

 

一方療法士はどうか、保険点数を払っている、患者さんに対して、無免許の学生が治療にあたるのである。考え方はいろいろあると思うが、個人的には免許をちゃんと取った後で臨床実習は行うべきだと思っている。

 

免許のあるバイザーが監督しているので大丈夫。という理屈で言うなら、医師免許のない学生にあなたの心臓の手術させますか?って話です。当然させませんよね~。

 

言葉を逆手にとって、リハビリぐらいどうせ死なないんだから、学生がやっても大丈夫だよ。とおっしゃるのであれば、療法士と言う国家資格自体の存在意義が問われるということになる。


随分前から、実習担当療法士の資質(人間性)や教育水準については、問題になってはいた。

 

確かに酷いのがいるのも確かだが、どこの業界でも、2:6:2の方式である。すっごくいい指導者が2割。普通が6割。最悪が2割。

 

最悪の2割を取り上げて、ワーワー騒げば、一生懸命やっている8割の療法士たちに申し訳がない。


個人的には、実習において、パワハラやモラハラ、セクハラとハラが多くなえれば、多くなるほど、教育は成り立たなくなってくると思っている。学生が楽して実習が終えられ、勉強もしないで国家試験が受かるのであれば、そんな資格ははなからいらない。

(実際に私自身としては、セクハラやパワハラと言われたことはないが、学校の実習指導研修でしこたま言われる。セクハラとかうるさいので、女子学生はとったことがないが、最近は男子生徒でもセクハラと騒ぐ輩がいるらしい。恐ろしい。)

学生迎合型の指導を学校側から強要されるので、実習生受け入れを随分前に止めた。

「遅刻するな」「ちゃんと実習に来い」と学生に促しただけで、パワハラと言われ、移乗動作やテクニカルな指導をする際、理学療法士は必ず患者の体に触れる。学生にやって見せる際、学生に触れただけでセクハラ。「実習に来ないんだったら、学校に連絡するね」と言えば、モラハラと言われてしまうのではないだろうかと、想像するだけで恐ろしい。

そんなんことが現実に起きるとすれば、実習にならない。

一度学校に私が実際に言われたのが、「規定時間外の指導はしないでください」と言われたことがある。

つまり、どういうことかと言うと、学生は9時から5時までの間の実習を2か月とかっていう形で来る。

9時から5時は仕事の真最中である。指導なんかする時間もなければ、フィードバックする時間もろくにとれない。時間がない中で、助言ぐらいは規定時間内にするが、それでも十分なフィードバックは就業時間内には取れないのである。

するとどうなるかと言えば。就業時間の終えた6時から指導時間となる。こちとら、患者を診ながら学生の面倒を見ている立場からすれば、わざわざ残って親身になって指導したら、「フィードバックが長くて帰れないから嫌だ」と学校に学生が言う。すると学校が慌てて、こっちにクレームをつけてくる。また逆に、おざなりなフィードバックで適当にやったらやったで「親身になって見てもらえない」と学生からクレームが入る。すると、学校から連絡が入って「ちゃんとしろ」的なクレームが来る。

いっておくが、学生がいくら来ても、こっちはサラリーマンなので一円にもならんのだ。通常業務をすべてやってからの学生のお相手なのですよ。親身になったらなったで、クレーム。適当にやればクレーム。全て学生本位。

なんだかな~。(阿藤快風に)

彼らが将来診るであろう患者さんたちの不利益にならないように必死になって後輩たちの指導をしているだけなのだが・・・。

 

学生の指導員になる療法士は、実習要綱を丸暗記するぐらい読み込んで、学生の指導をしている。学校側が高いレベルを求めてくるから、自然と厳しくならざるを得ない部分が出てくる。(ちゃんと寝なさいとか、時間通りに実習地に来るんですよ。とか・・・)もっと緩い感じで要綱を作っておけば、こっちだって、ゆる~い実習ができる。指導要綱が、高いレベルを学生に求めすぎだと思う。



そもそも、実習担当療法士に資質がどうのと言っているが、学生がどうなのか?という点に新聞記事は全く振れていない。夫婦喧嘩のどちらか一方の言い分しか聞いていないようなものだ。

 

まぁ、一つの事象をこねくり回して、魚眼レンズで映して、より面白おかしく書くのがエンターテイメントニュースペーパーです。と言われればその通りなのだが・・・

学生の中にいるんですよ。レポートは書いてこない。ことあるごとに実習を休む(実習期間の休める日数ぎりぎりまで、すべての学生が実習を休む)。態度も悪く、実習中に勝手にタバコを吸いに行って帰ってこない。ってのが・・・

 

それでも、実習を合格させるのか?

 

ということを問いたいだけなんですけどねぇ。

 

(私の場合は必ず学校の担任を呼んで、学校で決定してもらうようにしてもらっている。)

一定の基準は必要だ。

「言われたことができる」とか。


(朝ちゃんと実習地に来る。とか、レポート提出日までにレポートを提出するとか。休み時間は1時間とか・・・・)

「患者に対して失礼極まりない態度をとらない」とか。


(ベッドの上の患者の上着を足で跳ねるとか、検査の途中でどっかいっちゃって帰ってこないとか。患者さんにキレちゃうとか等々信じられへんことを学生さんはやってくれるんです。)

そんなこんな、治療以前の学生の資質に対して、誰がどう指導してきてくれるのか?

(なぜか、私のところには学校の問題児ばかり実習に送り込んでくる養成校があった。勘弁してくれや~)

我々実習指導者は学校の先生でもなければ、親でもない。

礼儀作法や決められた時間に実習地に来るといった、社会通念・一般常識すらない学生にどう対応するのか、養成校できっちり整理して頂いたうえで、各学校には学生を臨床実習に出してもらいたい。

また、楽したいだけの学生に迎合しなければならないような実習ならする必要もない。実習を学生目線に合わせてしまうと、「楽して単位だけくださいよ~」がほぼすべての学生の切なる願いである。

 

そんなところに合わせると、寝たきり患者が増えるばかりか、療法士自体の存在意義がなくなるのではないだろうか?

私のところでは臨床実習はすべて学生に評価を可視化できるように工夫していた。

 

感情的な評価採点ところ(取り組む姿勢的な評価項目。そんなの数値化できない)は、アンフェアーになりやすいので、できるだけ排除するようにして(可視化できないものは、ダメなのかもしれんが、学生本人に聞いて、学生の言い値で評価していた)

 

遅刻一回減点幾ら、欠席は減点幾ら、初期評価等の学校規定にある提出物の提出を一日遅れたら減点幾ら。

 

徹夜はしちゃ駄目!

ご飯はちゃんと食べる!

 

とか言う風にね。

 

勿論病欠なら医師の診断書提出とか決まり事を細かく徹底的に決めて、実習していただく。問題が少しでもあれば、直接本人には言わずに、すぐに学校に連絡。教員がマッハで飛んでこれる養成校しか受けなかった。(笑)

教育制度の見直しや、実習制度の見直しはやった方がいい。そもそも、勉強したくない学生は初めから、臨床実習に来るべきではないのだ。

臨床実習生は当分取らない。世間がハラ、ハラ言っているうちは、よっぽどのことがない限りもう学生なんて、教えてあーげない。(笑)

 

若手バイザーさんに先輩からの助言です。臨床実習のバイザーをやるうえで一番大事なことは、「愛」です。バイザーは学生がこれから先診るであろう、未来の患者さんに対する責任感と愛情をもって接する心を教えるだけの係です。先輩から受け継いだ「愛」を後輩に伝える愛の伝道者であればいいだけなのです。

 

後輩たちに両手を広げて満面の笑みで伝えましょう。

 

「理学療法はこんなに素晴らしい治療法でっすよーー!!」

 

と。

 

(実習生時代の思い出が、「いじめられた~。」しか感想のない方は、もう少し時間がたてば分かってくると思いますよ(笑))

 

愛をもって治療する心。愛をもって指導する。厳しさという愛の表現もある。ほめそやして導く愛もある。愛に答える愛もある。

 

バイザーは決して学校の先生ではない。ましてや、学生の敵でもない。ただ後輩を思う、その道で生きてきたただの先輩方である。

 

私も臨床実習では地獄を見た世代の人間ではあるが、自分が実習生をやっているときは、鬼畜、悪魔とおもっていた担当指導療法士の気持ちが10年20年と時間がたって分かってくる。

 

バカな学生(私)を必死に何とか使いもんになるようにと指導してくれていたんだなぁ。と、今では感謝している。でも、当時は死にそうでしたけどね。人格否定から指導が開始されますので・・・。当時はそれがマジョリティー(笑)

今だったら大変な事になりますよ。

 

私が学生時代に受けた地獄の臨床実習話をし始めたら、本ができちゃうので今日はこの辺で(*- -)(*_ _)ペコリ

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